自分のために作った家計アプリ

7〜10個のアプリ、次にスプレッドシート、そして AI エージェントに更新させる Excel ファイル。どれも続かなかったので、自分で作りました。

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前回のノートでは、初めて自分でウェブアプリを作った、と簡単に触れただけでした。 今日はそのアプリを実際にお見せします。あわせて、その後に加えた変更もいくつか。

なぜ作ったのか

どのアプリも続かなかった

お金の管理は、昔からどうにも身につかない習慣でした。この数年で7〜10個ほどの アプリを試しましたが、いつもどこかが噛み合わなくて、結局どれも長続きしません でした。自動化が足りず手入力ばかりのもの。設計が自分の暮らし方に合わないもの。 データの見せ方がどうにも腑に落ちないもの。

うまくいったスプレッドシート — ただし会社の話

しばらく前から、会社の資金計画を Google スプレッドシートでやるようになりました。 これはうまくいきました。数か月先まで、いくら入っていくら出ていくのかがはっきり 見える。それで同じことを個人のお金でも試してみて、また失敗しました。

会社の計画に効くやり方は、個人には効かないんです。会社なら、いつ・いくら・何に 使うかはかなり正確に分かっている。読めないのは収入のほうです。数か月後に案件が もう1本増えるのか、サブスクの契約が何件か増えるのかは分からない。だから確定した 収入をもとに計画を立てます。個人のお金はその逆で、毎月の収入は分かっているのに、 支出のほうが大きく揺れる。しかもカテゴリ別に見たかった。予算やカテゴリを足して いくうちにスプレッドシートが追いつかなくなり、3週間ほどでまた記録をやめてしまい ました。全部が手作業だったからです。

AI エージェントと Excel ファイル

次に試したのは、Claude に、そのあと ChatGPT に、手元の Excel ファイルを作らせて 更新させるやり方でした。その日に使った金額を伝えるだけで、エージェントがファイル に書き足してくれる仕組みです。

それでも問題は残りました。技術的な面では、Excel ファイルが何かの拍子に壊れる。 それ以上に大きかったのは見え方です。自分のお金が「見えない」。返ってくるのは エージェントのテキストだけ。便利とは言えませんでした。

そうしたことが積み重なって、気持ちがはっきりしました。お金を管理する専用の アプリを、自分の思うとおりに作りたい。

アプリ

というわけで、こちらです。スクリーンショットの数字はすべてデモ用に AI が生成した もので、私の実際のお金とは関係ありません。

メインのサマリー

アプリのサマリー画面。いまの残高、今月の収入・支出・収支に加え、日ごとの支出グラフと計画に対する累計グラフ

アプリを開いて最初に目に入るのが、このサマリーです。

  • いま手元にいくらあるか
  • 今月の収入
  • 今月使った額
  • そして今月の収支 — 月の終わりにお金が増えているのか、減っているのか

その下にはグラフが2つ。

1つ目は、月の各日にいくら使ったか。日ごとの支出がカテゴリ別に積み上がっていて、 カーソルを合わせるとカテゴリごとの正確な金額が出ます。

2つ目は、累計の支出を計画と並べたもの。線は2本あり、破線はその日までに使って いいはずの額、実線が実際に使った額です。点が赤いときは計画を超えていて、上の 数字が超過額をそのまま教えてくれます。

今月の計画と実績

下にスクロールすると、今月の予算の表が出てきます。カテゴリごとに、計画・実績・ 残りが並びます。今月は娯楽に ¥18,000 を見込んでいて、いまのところ使ったのは ¥2,000 弱。まだ ¥16,000 も遊べます。

今月のカテゴリ一覧。カテゴリごとに計画・実績・残りが並んだ表

この画面を見れば、今月が計画に対してどう進んでいるかがすぐ分かります。

月ごとの履歴と予測

さらに下には、月ごとの履歴と予測。支出、収支、残高が並びます。ここの便利さは 少し種類が違って、先の月まで見通して、手元にいくら残るのかが分かる。そこから、 目標に届くように支出や収入をどう調整するかを考え始められます。

月ごとの収入・支出・収支と、1年分の残高予測が並んだ表

予算について少し

冒頭で書いた個人のお金の厄介なところは、支出が大きく揺れることです。人間ですから、 勢いで買い物もする。それ自体は問題ありません。だからこそ、それでも先を見通せる 仕組みが要ります。このアプリでは、それが予算のページです。

予算のページ。列が月、行がカテゴリのグリッドで、各セルに計画額とその下に実績が入る

このページでは、列が月、行がカテゴリで1年分が見えます。各セルは、その月・その カテゴリにいくら使う予定かという数字。過ぎた月には、実際に使った額も一緒に 出ます。

たとえば、外食の予算は1月から7月まで ¥40,000 でしたが、ほぼ毎月それを超えて いました。これは分かりやすいサインです。外食の仕方を考え直すか、自分の行動に 合わせて予算のほうを上げるか。ちなみに予算は月ごとに別々に設定します。8月から 外食の予算を上げても、過去の月は履歴をそのまま残し、そこで使いすぎていたことを 見せ続けてくれます。

取引

もう1つ、取引のページがあります。いつ・何に・いくら使ったかを1行ずつ見せて くれるページです。というより、この機能的な年間カレンダーからも辿れます。作る ときに参考にしたのは GitHub です。

1年分の日付を GitHub 風のグリッドにしたカレンダー。緑はすでに使った額、青はこれから使う予定の額

このカレンダーは、1年の各日にいくら使ったかを示します。緑は実績、つまり過去。 青はこれから使う予定の額です。その日の取引の合計が大きいほど色は濃くなり、 濃さは各月の予算から計算されています。

日付を1つクリックすると、下のリストのフィルタとして働き、その日にあった取引 だけが表示されます。

同じカレンダーで1日が選択され、その下の取引リストがその日だけに絞り込まれた状態

フィルタは期間で効きます。いつからいつまでの支出を見たいか、手で指定できます。 カレンダーの月名や週番号をクリックしてもいい。さらに、カレンダーのセルを ドラッグして期間をそのまま選ぶこともできます。

そして同じフィルタで、指定した期間の「予定されている取引」だけを表示することも できます。

9月を「予定のみ」で絞り込んだ取引リスト。家賃、サブスク、給与など、これから予定されている項目が並ぶ

取引と操作

ここが肝心なところです。ほかのアプリが続かなかった理由のひとつでもあります。

多くの家計アプリは単純に扱います。口座にお金が入れば収入にプラス、出ていけば 支出にプラス。でも、生活はそう単純ではありません。自分の分だけでなく、一緒に いる人の分もまとめて払って、あとから返してもらうことがあります。

友だちと食事に行って、伝票をまとめて自分のカードで払い、あとから各自が自分の分 を返してくる。よくある話です。

そういうアプリだと、まず伝票の ¥12,000 を払った時点で、支出に ¥12,000 が丸ごと 乗ります。そのあと ¥8,000 返ってくれば、今度は収入にプラス。これが何度か続くと、 支出も収入も実際よりずっと大きく表示されてしまいます。

自分のアプリでは、ここをきちんと作りました。

1つの取引に3つの操作。カードで −¥12,600、その後 友人から +¥4,200、もう1人から +¥4,200 が返り、差し引き ¥4,200 の支出になる

1つの取引が持っているのは、「いつ・何に使ったか」という情報です。使った金額は、 その取引にひもづく操作の合計から計算されます。この例なら、銀行カードから −¥12,600、友人1人から現金で +¥4,200、もう1人から +¥4,200。合計すると、取引と しての支出は ¥4,200 です。統計が、ありもしない収入や支出で私を騙すことはあり ません。

いちばんの肝

このアプリのいちばんよいところは MCP です。家計アプリを諦めてきた理由のひとつ は手入力でした。今回も同じことが起きたはずです。取引と操作という、正しいけれど 少し複雑な構造があるからです。

そこで出した答えが、AI エージェントをアプリにつなぐことでした。私がやることは、 何にいくら使ったかを伝えるだけ。銀行アプリの履歴のスクリーンショットを送っても いい。メールを読んで銀行の通知だけ拾う自動化を組んでもいい。自動化のやり方は いくらでもあります。MCP は Claude でも ChatGPT でも、ほかのエージェントでも 使えます。とても便利です。

おわりに

このアプリはまだ生まれたてです。これからも使い続けて、機能を足したり、直したり していきます。いつか、ほかの人にも開くかもしれません。でもいまのところは、自分 だけのクローズドな版です。

これからの更新と、いつかの公開版に、どうぞご期待ください。それでは。

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